【工法】ARS工法

2010年01月29日 | 雑記帳

ARS工法についてご紹介します。
ARS工法。(あるすこうほう)
耐震補強工事の一種で、フクビ化学工業の商品です。

***

木造住宅の耐震設計は、
今の基準では耐力壁の量と配置バランスによって、
大きな地震が来たときに耐えられるようにしています。

しかし、1995年阪神淡路大震災において、
多くの木造住宅が倒れる結果となってしまいました。

その原因の多くは、柱が抜けてしまったことによる倒壊でした。
地震に抵抗する壁が、”抵抗することによって大きな引抜き力が発生して破壊”されてしまったんですね。

例)
【工法】ARS工法

そこで、2000年の建築基準法改正で柱の接合部の金物が、
力の大きさによって規定されることになりました。
(耐力壁の配置バランス=偏心率等の計算もこのとき義務化)

現在よく耳にする耐震補強は、
この接合部の強化が結構重要なんです。

建築士が、できるだけ耐力壁を目視で確認して耐震診断を行うことによって、
引抜き力をチェックして柱の柱頭柱脚、筋違いの接合部を強化するだけでも、
かなりの改善が見込めます。(建設時期によっては耐力壁の追加が必要)

***

補強手段はいろんな会社が開発、認定を受け商品が出そろってきました。
現場の施工性によって選択対応できるよういろいろ扱えたほうがいいんです。

そんな中、今回フクビのARS工法を扱うことができるよう登録をしました。

この工法は、アラミド繊維のロープを、柱と基礎をつなぐように埋め込むというもの。
主に屋外側から簡単に取り付けられることを売りとしています。
【工法】ARS工法フクビホームページより

外付けホールダウン金物といった商品もありますが、
必要以上に強力で高価だったりしてコストメリットの面で選択しにくいんです。
もちろん設計上引抜き力が非常に大きくなってしまう(強い耐力壁が必要な)ときは、
その金物を選択するので、要は使い分けってことですね。
ARS工法だって使う場所によっては工事手間のわりに強度が見込めないことがあるので、同じ強さの金物のほうがよかったりします。

適切な設計と工事費用となるようじっくり検討してご提案させていただきます!

フクビ化学工業 ARS工法


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この記事へのコメント
勉強になります。
神戸の地震は断層地震なので、家を上に持ち上げて落とす感じの強力な地震です。それで柱が抜けないように接合するのですね。地震も地下の岩石や地盤によって地震波が複雑に変化します。その地域、家に合わせた適切な設計が必要だと分かりました。職場で地震速報を発表していますが、地震を受ける住民がどのような防災をすべきか分かりませんでした。講演で耐震工事の必要性を具体的に話したいと思います。これからも教えてください。
Posted by 鈴木 淳 at 2010年01月30日 12:01
住民の防災対策は静岡県の「耐震ナビ」などでもまとめられていますね。
http://www.taishinnavi.pref.shizuoka.jp/antiearthquake/index.html

講演なんてされてるんですか・・・!
それを通じて少しでも知識がつけば耐震診断結果の説明も理解しやすいでしょうから、多くの人に聞いていただけるといいですね。

こちらもまだまだ勉強していきたいと思います。
Posted by 加藤建築加藤建築 at 2010年01月30日 14:58
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    コメント(2)